骨伝導補聴器のメリットとデメリットを徹底解説!失敗しない選び方
- 渡邉貴
- 2024年10月30日
- 読了時間: 11分

▶︎1. 骨伝導補聴器とは?

1.1 骨伝導補聴器の仕組み
骨伝導補聴器は、音を「骨」を通して内耳に伝える技術を採用した補聴器です。通常、私たちは音を耳を通して鼓膜に届け、それを中耳で増幅し内耳に伝える「気導」と呼ばれるメカニズムを通じて音を聞き取ります。
しかし、骨伝導補聴器は、外耳や中耳を経由せず、音を直接「骨」を通して内耳に届けるため、外耳や中耳に障害がある伝音性難聴に効果的です。
骨伝導補聴器の仕組みは、振動を利用して骨を振動させ、その振動が内耳の蝸牛(かぎゅう)に伝わることで音が聞こえるというものです。具体的には、補聴器に搭載された振動子が耳の後ろや頭部の骨に密着して、振動を発生させます。これにより、音が直接内耳に伝わり、外耳や中耳の役割を補完するのです。
骨伝導技術は、特に耳穴がふさがれず、外部の音も同時に聞こえるため、騒音下や外耳・中耳に問題がある場合に有効です。しかし、その一方で、音質の劣化や長時間の使用による装着部の痛みなど、いくつかの課題もあります。
このように、骨伝導補聴器は外耳や中耳の障害を補完する技術として、特定の難聴タイプに効果的ですが、適切な装着と使用環境が重要です。
1.2 気導補聴器との違い
骨伝導補聴器と気導補聴器の主な違いは、音を伝える経路にあります。気導補聴器は、一般的に「耳から入る音を鼓膜で捉え、中耳を通して内耳へ音を伝える」方式です。
これにより、音の振動が外耳から鼓膜に伝わり、その振動が中耳で増幅されて内耳の蝸牛に届きます。一方、骨伝導補聴器はこの経路を経ずに、直接骨を通して振動を内耳に届けるという仕組みです。
気導補聴器では、外耳や中耳に問題がある場合に音が正しく伝わらないことがありますが、骨伝導補聴器ではこれらの部分を迂回して内耳に直接振動が伝わるため、外耳や中耳に障害がある伝音性難聴には適しています。ただし、感音性難聴には効果がないため、この違いを理解し、自分の難聴タイプに合った補聴器を選ぶことが重要です。
また、音質の面でも差があります。気導補聴器は、鼓膜や中耳の自然な音の増幅を利用するため、よりクリアな音が期待できますが、骨伝導補聴器では音の振動を骨で伝えるため、音質がやや劣ることが一般的です。これにより、特に騒音が多い環境では、骨伝導補聴器の音質の低さがデメリットとして現れることがあります。
▶︎2. 骨伝導補聴器のメリット

2.1 耳を塞がないことによる快適性
骨伝導補聴器の最も大きなメリットの一つは、耳を塞がないで使用できる点です。通常の補聴器は耳穴に装着するため、長時間の使用で耳に負担がかかりやすく、耳が痛くなる、かゆくなるなどの不快感を感じることがあります。しかし、骨伝導補聴器は、外耳や耳穴を介さずに骨を通じて音を内耳に届けるため、耳にかかる負担を軽減できます。
この特性により、特に耳の健康を守りたい場合や、耳穴に装着するタイプの補聴器に抵抗がある人にとって、骨伝導補聴器は快適な選択肢となります。また、耳をふさがないため、補聴器をつけながら周囲の環境音も同時に聞くことができるため、日常生活において安心感が増すという利点もあります。
2.2 騒音環境での優位性
骨伝導補聴器は、騒音環境でも音が聞き取りやすいという特徴があります。通常の気導補聴器では、外部の音や雑音が鼓膜を通じて同時に内耳に伝わるため、周囲がうるさい環境では音声をはっきりと聞き取るのが難しくなります。
しかし、骨伝導補聴器は骨を通して直接内耳に振動を伝えるため、周囲の騒音があっても比較的クリアに音を認識することが可能です。
特に、騒がしい場所や工事現場、交通量の多い場所などでは、耳を塞がないで音声を聴けるため、車のクラクションや歩行者信号などの重要な環境音も同時に把握できます。このような環境では、気導補聴器よりも骨伝導補聴器の方が優位性を発揮する場面が多くあります。
ただし、あまりに騒音が大きすぎる場合には、骨伝導でも音が聞き取りにくくなることがあり、騒音環境での効果が十分発揮できない場合もあるため、注意が必要です。
2.3 軽度の伝音性難聴への有効性
骨伝導補聴器は、特に軽度から中等度の伝音性難聴に対して有効です。伝音性難聴は、外耳や中耳の問題で音が正常に内耳に届かない状態を指しますが、骨伝導補聴器はこの問題を解決するため、骨を通じて直接内耳に振動を伝えます。これにより、外耳や中耳の障害があっても、内耳に音が到達するため、伝音性難聴の人にとって効果的な選択肢となります。
さらに、手術を必要としない非侵襲的な方法であるため、特に軽度の難聴者や手術を避けたい患者にとっても安心して使用できるデバイスです。これにより、伝音性難聴の初期段階での使用に適しており、補聴器を初めて導入する人にも受け入れやすいといえるでしょう。
ただし、高度難聴や感音性難聴には対応していないため、難聴の程度や種類に応じて、骨伝導補聴器が適しているかどうかを慎重に判断する必要があります。
▶︎3. 骨伝導補聴器のデメリット

3.1 感音性難聴には効果がない
骨伝導補聴器の最大のデメリットの一つは、感音性難聴には効果がないという点です。感音性難聴は、内耳や聴神経に問題があるため、音が内耳に届いても正常に処理されず、聞き取れない状態を指します。
骨伝導補聴器は、外耳や中耳を経由せず直接内耳に振動を届ける仕組みですが、内耳自体に障害がある場合は、その振動が伝わっても音を正しく聞き取ることができません。
特に、加齢による難聴(加齢性難聴)や突発性難聴などの感音性難聴には、骨伝導補聴器はほとんど効果が期待できないため、この点を理解しておくことが重要です。感音性難聴の治療には、一般的な気導補聴器の方が適しているケースが多いです。
3.2 音質の限界とクリアさの不足
骨伝導補聴器は、一般的な気導補聴器に比べて音質が劣るという点がデメリットの一つです。骨を通じて振動を内耳に伝えるため、音の細かいニュアンスやクリアさが失われがちで、音質にこだわりがある場合には不満を感じることがあります。
特に高音域や微細な音の表現が難しく、音声をクリアに聞き取りたい場合には、気導補聴器の方が適していることが多いです。
また、周囲の騒音が大きい環境では、骨伝導の振動が外部のノイズに影響され、音の質がさらに低下することがあります。このため、日常の様々な音環境において、常に満足のいく音質を提供するのが難しいのが現状です。
3.3 装着感と長時間使用時の負担
骨伝導補聴器は、装着時の快適さに課題がある点もデメリットです。骨伝導補聴器は、頭部の骨に密着させて振動を伝えるため、しっかりとした装着が必要です。しかし、密着度を高めるために強く締め付けると、長時間の使用によって頭部や耳周りに痛みを感じることがあります。
特に、カチューシャ型やメガネ型の骨伝導補聴器は、この締め付けが強くなりやすく、装着時の不快感を訴える人が多いです。
また、装着位置が少しでもずれると音が伝わりにくくなるという問題もあります。振動子が骨にしっかりと接していないと、音の質や音量が低下し、適切な補聴効果が得られなくなります。これは、日常的に補聴器を使用する上での大きな不便さにつながります。
3.4 取扱店の少なさと種類の限界
骨伝導補聴器のもう一つのデメリットは、市場に出回っている種類が限られていることと、取扱店が少ないという点です。従来の気導補聴器に比べて骨伝導補聴器はまだ新しい技術であり、特に日本国内では取り扱っている店舗が限られています。そのため、選択肢が少なく、購入前に複数の製品を比較する機会が少ないのが現状です。
また、種類自体も多くありません。骨伝導補聴器には、メガネ型やカチューシャ型、埋め込み型、軟骨伝導型といったバリエーションがありますが、全ての店舗でこれらが揃っているわけではなく、特に最新技術である軟骨伝導型は取り扱いが限定されています。
さらに、骨伝導補聴器は一般的な補聴器に比べて、製造数も少ないため、故障時の修理や交換に対応しているメーカーも限られ、メンテナンスの面でもデメリットがあるとされています。
▶︎4. 骨伝導補聴器の種類とそれぞれのメリット
4.1 メガネ型
メガネ型骨伝導補聴器は、最も一般的な骨伝導補聴器の形状です。メガネのツルの部分に振動子が取り付けられ、耳の後ろの骨に振動を伝えることで音を内耳に届けます。普段からメガネを使用している人には違和感が少なく、補聴器を装着していることが目立ちにくいというメリットがあります。
さらに、メガネと補聴器を一体化させることで、デバイスが一つにまとまるため利便性が高いです。
デメリットとしては、メガネが通常より重くなることや、フレームが振動するために音が揺れたり、ずれたりする場合がある点が挙げられます。また、度が入っていないメガネを使用している場合は、視覚補正の目的がないため、違和感を感じることもあります。
4.2 カチューシャ型
カチューシャ型骨伝導補聴器は、主に子供や小児向けに設計されています。この補聴器は、カチューシャ型のデザインで頭にしっかりと固定されているため、動き回ることが多い子供でもズレにくいという利点があります。振動子を頭に固定することで、動作中でも安定して音を聞き取ることができるため、アクティブな生活を送る人にも適しています。
一方で、カチューシャ型は見た目が目立ちやすく、装着することに抵抗を感じる人もいます。特に、見た目を気にする子供や大人にとっては、装着時のデザインが気になる場合があるかもしれません。
4.3 埋め込み型
埋め込み型(骨固定型)骨伝導補聴器は、頭蓋骨にチタン製の部品を埋め込む外科手術を必要とするタイプです。この補聴器は、最もクリアな音質を提供するため、骨を通じて直接振動を内耳に伝える効率が非常に高いです。振動子が埋め込まれているため、補聴器が外れる心配がなく、周囲からは補聴器を装着していることがわからないという見た目の利点もあります。
しかし、この型のデメリットは、外科手術が必要であることです。手術は一般的に大きな負担ではありませんが、術後のケアや感染リスクに注意が必要です。また、特定の条件下でしか手術が受けられないため、すべての難聴者が使用できるわけではありません。さらに、手術後に調整が必要な場合もあるため、メンテナンスの面でも配慮が必要です。
4.4 軟骨伝導型
軟骨伝導型補聴器は、骨伝導技術の中でも比較的新しい技術であり、外耳の軟骨部分に振動を伝える補聴器です。耳掛け式のデザインを採用しており、耳にかけて使用することで、耳穴を塞がずに音を聞くことができます。装着感が非常に軽く、長時間の使用でも快適で、耳への負担が少ない点が大きなメリットです。
しかし、軟骨伝導型補聴器はまだ市場に出回っている種類が少なく、取り扱っている店舗も限られているため、入手が難しい場合があります。また、新しい技術であるため、使用感や音質に関しては今後の改良が期待されている段階です。
骨伝導補聴器は、それぞれの種類に応じた特長とデメリットがあるため、自分の生活スタイルや難聴の種類に合った補聴器を選ぶことが重要です。
▶︎5. 骨伝導補聴器を選ぶ際の注意点
5.1 自分の難聴タイプに合った選択
骨伝導補聴器を選ぶ際は、まず自分の難聴の種類に適しているかを確認することが重要です。骨伝導補聴器は主に伝音性難聴に効果的であり、感音性難聴には対応できないため、自分の難聴タイプを正確に把握する必要があります。
特に、加齢による感音性難聴が進行している場合や、内耳や聴神経に問題がある場合には、骨伝導補聴器は効果が期待できないため、医師や専門家に相談することが大切です。
5.2 試用期間の活用と相談
補聴器を選ぶ際には、試用期間を活用して自分に合った装着感や音質を確認することが推奨されます。装着感や音の聞こえ方には個人差があるため、実際に使用してみて快適さを確認することが重要です。
また、専門家に相談しながら、どのタイプの補聴器が最も適しているか、機能やデザインの違いを理解することも選定のポイントです。補聴器のメンテナンスや故障対応についても事前に確認しておくと、長期使用の際に安心です。
▶︎6. まとめ
骨伝導補聴器は、外耳や中耳に問題がある伝音性難聴に対して効果的な補聴器です。耳を塞がず、骨を通して内耳に音を伝える仕組みを利用するため、騒音環境でも比較的聞き取りやすいというメリットがあります。しかし、感音性難聴には効果がなく、音質が気導補聴器に比べて劣ることや、装着感に問題があるといったデメリットも考慮する必要があります。
また、骨伝導補聴器は種類が限られており、取り扱い店も少ないため、購入前にしっかりと試用し、自分の難聴タイプや使用環境に合った製品を選ぶことが重要です。最適な補聴器を選ぶためには、専門家への相談や試用期間を有効に活用することが推奨されます。
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